静岡・府中を流れる安倍川、その支流藁科川の流域は、昔からの良質の若竹、淡竹を産してきました。弥生時代の登呂遺跡から、ザルやカゴが出土され、この地では古くから竹製品が生活用具として定着していたことが伺われます。
「駿河の府中、竹籠の名物あり。その細工よし。
関東の人は、駿河籠を賞翫する也」
(日本山海名物図繪四)
「虫篭を買うて裾野に向かいけり」
(俳人鬼貫)
(元和1615〜)には、精巧な籠枕が東海道を行く参勤交代の諸大名に人気を博し、寛永年間(1624〜)には、城下草深に住む鷹匠同心により編み笠や鈴虫籠が作られるようになり、この頃より「孝行をするが第一、竹細工」の雑俳が作られるほど、駿河竹細工の名声は広がったと、文献に記されています。
駿河竹細工の中でも最も特徴のあるといわれる、丸ヒゴを使った駿河竹千筋細工は、天保11年(1840)、華道や茶道、機織に秀でた菅沼一我(号は芳州庵)という人が、清水猪兵衛に教示したのが始まりで、以後安政3年(1856)に亡くなるまで、多くの門下生を取り立てて教養し、工夫研究を重ねて、今日の礎を確立したと伝えられています。明治6年(1873)には、日本の特産品としてウィーンの国際大博覧会に出品。以後、日本を代表する輸出品として、海外の脚光を浴び、随時、その発展を重ねてきました。
そして、現在。
先人たちのたゆまざる創造意欲を継承してきた駿河竹千筋細工は、竹の持つ風合、色、艶、材質を今日の完成に生かしながら、ますます繊細で優美な”技の華”を咲かせています。
細い竹ひごを作って組み立てる
駿河竹千筋細工は、細い竹ひごを作り、それを組み立てる事により美しい筋を持つ工芸品になります。
繊細な仕上がり
細い竹ひごを組み合わせる事で、非常に繊細な細工物を作ることができます。作品は非常に軽く、細かな模様や曲線が美しく表現されています。
自然素材の活かし方
竹細工は自然素材を用いた工芸品であり、竹をそのまま活かした作品や、竹と他の素材を組み合わせた作品など、素材の特徴を生かした作品が多く見られます。
実用的な作品
駿河竹千筋細工は、実用的な作品も多くあります。例えば、かごや風呂敷などの日常生活に欠かせない品々を細かい編み目で作り上げています。
竹は、外側の皮に近い部分が強いので、ひごには、そちらを使います。
竹を持つ手と、鉈を持つ手のバランスで、へいでいきます。
せん台という道具で厚みを決めます。
直径1.5ミリのひごを作るときは、2ミリくらいの厚さに決めます。
二本の刃をたて、細かい切り込みをいれます。この作業は非常に手間がかかり、熟練の職人によって行われます。
ひご引きは、手作業によって行われ、熟練の職人が行います。竹を割く際には、竹の種類や太さ、硬さなどを見極めて、それぞれに合った割り方をする必要があります。また、割った竹を糸のように細く引き出す際にも、細心の注意が必要です。
幅9ミリ、厚み5ミリほどにした竹を、熱く熱した管(胴乱)に巻き付けて曲げます。
竹には、曲げる前に、はんこのようなもので、穴開け用の印を付けておきます。その印を見ながら、ボール盤という機械を使い、1本1本あけています。作品により、穴を開ける角度を、変えていきます。微妙な角度の違いで、作品の雰囲気が変わります。
駿河竹千筋細工の一番の特徴は、丸い竹ひごを穴に差して、組み立てることです。
1本1本丁寧にひごをさして、完成します。
駿河竹千筋細工は、静岡県駿河地方に古くから伝わる竹細工の一種です。その起源は古く、鎌倉時代の文永年間(1264年-1274年)に、当時の駿河国守護・今川範国が中国・福建省から技術を持ち帰り、竹細工を広めたとされています。
その後、駿河地方においては、竹を材料にして様々な道具や器具が作られ、生活に欠かせない存在となりました。特に、江戸時代中期以降になると、駿河竹千筋細工は広く普及し、細かな竹ひごを無数に組み合わせた独特の技法が確立されました。
明治以降、産業革命の波が日本にも押し寄せ、駿河竹千筋細工もその影響を受けます。工業製品の普及や、生産性の向上などによって、竹細工の需要は減少していきました。しかし、昭和時代に入ると、伝統文化の復興が進む中で、駿河竹千筋細工も再評価されるようになり、今日まで伝統技術として受け継がれています。
現在では、駿河竹千筋細工は国の伝統的工芸に指定され、多くの人々に愛される伝統工芸品として、その歴史と文化的価値を守り続けています。
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